Fahrenheit -華氏- Ⅱ


「はいっ!すみませんでしたっっ!」


直立不動で、謝ると電話の向こうで瑠華がくすくすと笑った。


あぁ~やっぱいい!


瑠華の声を聞くと元気出る!


あと四日かぁ……


瑠華が帰ってくるのは14日の夕方。


残りの四日が遠い…


「どぉしよ…俺、寂しい……」


口に出してはっとなった。慌てて口を噤む。


まぁ、散々寂しい寂しいって言ってたから今更隠すこともないんだけど。


って言うか俺ってこんなキャラだった??





誰かを想って寂しいなんて感情を抱くなんて―――





『すぐに会えますよ』


と、また平坦な口調で答えが返ってきた。


「そうですよね~」


冗談っぽく返したも、結構ショック。


俺と瑠華には




やっぱり温度差があるんだな。





“好きになってくれてもあたしはそれに応えることができないから。同じものを返せないって分かりきってるから……”




以前、瑠華に言われた言葉がふっと頭を過ぎった。




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