Fahrenheit -華氏- Ⅱ
言われて、俺は目を瞬いた。
「オッドアイって言うんですかね?左右で色の違う目のことを。
水晶…ううん。宝石みたいで、すごく綺麗」
瑠華は、はにかみながらちょっと笑った。
俺も何だか照れくさくて、ほんの少し笑みを漏らした。
そう、確かに俺の右眼は黒色で、左眼はブルーがかった淡いグレーをしている。
劣勢遺伝
俺は日本人の父親の目を右眼に、アメリカ人とのハーフだった母親の目を左眼に
それぞれ血を受け継いだみたいだ。
小さい頃はこれを理由によく苛められもしたが、今は逆に「きれい」や「変わってる」という理由で女からもてる要素に成り代わっていた。
オッドアイ
なんて言うと聞こえはいいが、虹彩異色症という名の歴記とした病だ。
病とは言うが、単に色が違うだけ。
見え方も、何も変わらない。
偶然の産物に感謝だ。
と言っても顔は思い切り日本人。
母方の親戚で俺の従兄妹の今年25になる女は、もっと西洋的な顔立ちをしている。
西洋人形のような整った顔立ちだ。
そう言えばあいつも今年結婚するとか言ってたな…
出来ちゃった婚だとか。