Fahrenheit -華氏- Ⅱ


言われて、俺は目を瞬いた。






「オッドアイって言うんですかね?左右で色の違う目のことを。


水晶…ううん。宝石みたいで、すごく綺麗」






瑠華は、はにかみながらちょっと笑った。


俺も何だか照れくさくて、ほんの少し笑みを漏らした。



そう、確かに俺の右眼は黒色で、左眼はブルーがかった淡いグレーをしている。



劣勢遺伝


俺は日本人の父親の目を右眼に、アメリカ人とのハーフだった母親の目を左眼に


それぞれ血を受け継いだみたいだ。



小さい頃はこれを理由によく苛められもしたが、今は逆に「きれい」や「変わってる」という理由で女からもてる要素に成り代わっていた。



オッドアイ



なんて言うと聞こえはいいが、虹彩異色症という名の歴記とした病だ。


病とは言うが、単に色が違うだけ。


見え方も、何も変わらない。




偶然の産物に感謝だ。





と言っても顔は思い切り日本人。


母方の親戚で俺の従兄妹の今年25になる女は、もっと西洋的な顔立ちをしている。


西洋人形のような整った顔立ちだ。





そう言えばあいつも今年結婚するとか言ってたな…



出来ちゃった婚だとか。





< 12 / 572 >

この作品をシェア

pagetop