Fahrenheit -華氏- Ⅱ
どうせ夢でしか会うことができないんだ。
だったら思う存分彼女の感触を確かめたい。
俺は彼女の腕を引き寄せると、彼女を抱き寄せた。
彼女がびっくりしたように俺の腕の中で体を強張らせた。
「会いたかった。もうどこにも行かないで」
そうしてぎゅっと力を入れて…
ここで初めて瑠華の感触でないことに気づいた。
だけど確かめる気力もない。
どうせ夢なんだから…
夢
そう思っていると、
「部長……好きです」
と柔らかい口付けが降りてきた。
瑠華と初めてしたキスを思い出す。
柔らかくて、さらりとして…ほんのり甘い香り…
マドレーヌの…
――――
――
マドレーヌ??
俺ははっと目を覚ました。