Fahrenheit -華氏- Ⅱ
瑠華は俺を覗き込むと、ワイシャツのボタンを外しだした。
えっ!!?そんなっっ!ホントに!!
「啓」
甘い声で囁かれて、俺は目を開いた。
ヤバイ!!襲うのもイイけど、襲われるのってもっとイイかもっ!!
なんてドキドキしてたけど…
瑠華はどこからか、スチャっと体温計を取り出し、俺のわきに突っ込んだ。
え?体温計…ってどこから持ってきたのよ。
それ、うちのだよねぇ。
俺すらどこにあったのかなんて一々覚えてないのに。
何てあれこれ考えを巡らせていると、体温計がピピッと鳴った。
瑠華は体温計を引き抜いてじっと見つめると、かっ!と目を開いた。
「な、何??何度??」
「知らないほうがいいです」さらりとそう言って彼女は無表情に体温計をケースにしまう。
一体何度なのよ!!
「今日は大人しく寝ててください」瑠華はクローゼットを開けると、俺のパジャマを抜き出した。
「や。寝るは寝るけど…その前に風呂…」
俺が上体を起こすと、
「はぁ!?」と瑠華が眉を吊り上げた。
キャー!!
瑠華の頭に、にょきっと小さな角が生えたのを見て…(もちろん幻覚だけど)俺は顔を蒼白にさせた。