Fahrenheit -華氏- Ⅱ
ええ!そりゃもう!!
元気一杯ですわっ!
「ははっ」と乾いた笑いを漏らし、俺は腹の上に瑠華を乗せたまま、腹筋だけで起き上がった。
急に起き上がった俺にびっくりした瑠華を起き上がらせると、俺の真正面に向かせた。
両肩に手を置いて真面目な顔つきで彼女を見つめる。
「そりゃそーでしょ。好きな女が腹の上に居るっていうのに、元気にならない男は居ないつーの」
真剣な口調できっぱり言い放つと、瑠華は呆れたように笑った。
「このまま体も元気になるといいんですけどね」
そう言いながら俺の脚の間に腰を降ろし、瑠華はキスをしてくれた。
―――
――
ギシっ
ベッドのスプリングが軋む音がやけに大きく響く。
照明を落とした部屋に、窓から僅かに侵入している月明りが瑠華の白い頬や肩を照らし出し、彼女を幻想的に浮き上がらせていた。
彼女の長い髪がシーツの上を波のように漂って、胸元にも落ちている。
その髪をそっと掻き分けると、俺は瑠華の浮き上がった鎖骨にそっと口付けを落とした。
「ふ……」
瑠華が小さく吐息を漏らし、長い睫を伏せてゆっくりと目を閉じる。
俺は瑠華のこの表情―――好き。
苦しそうな…切なそうな、それでいてすごく色っぽい。
俺は瑠華の首筋に顔を埋めた。
瑠華の背中がシーツから浮き上がり軽くのけぞる。俺はその下に腕を伸ばし彼女の華奢な腰を抱いた。
「………限界かも…」
小さく囁くと、彼女の腕が俺の首に絡みついた。