Fahrenheit -華氏- Ⅱ
瑠華は口元にちょっと笑みを浮かべると、左手を俺の顔の前に持ち上げた。
薬指には同じデザインのリング。
手の甲側を見せてかざすその仕草に、芸能人とかの結婚会見を思わせた。
ってことは―――
やっぱりペアリング!!?
色々複雑だった俺の心境はあっけなく飛び去り、驚きと嬉しさに満たされた。
「ってか何??アナタかっこよすぎ」
嬉しさの反面、やっぱり驚きを隠せない俺は思わず顔を覆った。
そんな俺の手をぐいと瑠華が引っ張り、いつの間にか手にしたリングをそっと俺の薬指にはめようとする。
へ―――??
ええっ!!
これって、これって―――
結婚式でやる指輪の交換じゃね!?
なんて一人で興奮してる俺に対して、
「あ、ぴったり。良かった」とあくまで冷静な瑠華さん。
俺は左薬指にはめられたリングをまじまじ見た。
瑠華が言うようにぴったりと指に馴染んでいる。
「うっわ。やべぇ。すっげえ嬉しいかも…」
顔を赤くして、それでもそんな顔を見られたくなくて俺は瑠華から顔をちょっと背けた。
「失くさない様にしないとな」
なんて照れ隠しに言うと、瑠華は俺のパジャマの中にズボっと手を突っ込んできた。