Fahrenheit -華氏- Ⅱ
そのうちに佐々木も出勤してきて、瑠華が通常通りデスクに座っているのを見ると、びっくりしたように目を丸めた。
「あれ!?柏木さん、休暇じゃなかったんですか??」
「少し早めに切り上げることにしました。仕事も溜まってるので。あ、これお土産です」
相変わらず淡々と言って、瑠華はチョコレートの箱を俺たちのデスクの中央に置いた。
ちょっと変わったデザインのパッケージの箱を早速開けると、色んな種類のチョコレートがぎっしりと詰まっている。
「お♪うまそう」
「ホントだ~」
俺と佐々木は嬉しそうにチョコレートの箱を覗き込む。
「そう言えば…部長、もう体調は大丈夫ですか?」
「おぅ。もう!絶好調☆」
「ふーん……」
と意味深な視線で目を細めると、瑠華の方をちらりと見た。
「な、何だよ!」
こいつが瑠華との仲を疑っているのは、前々から分かってたけど、最近あからさまに気付いていそうで…
じと~と纏わり付く佐々木の視線に
「何だよ」と言う視線を向けてガンたれていると、
「あ!柏木さ~ん♪休暇じゃなかったの??」
また厄介なのが出た!
俺はうんざりした顔で、パーテンションからひょっこり顔を覗かせている二村を睨んだ。