Fahrenheit -華氏- Ⅱ



村木と二村が―――………?




緑川派の鴨志田監査役と、神流派の瓜生常務、そして組織の中央を担うと言われている物流管理情報部のトップとその補佐。


嫌な組み合わせだぜ。頭の中でそれぞれの顔を思い浮かべ、それぞれの位置関係を描く。


「まぁ、予想すると、こうだな」


俺はタバコの煙を吐きながら、短い間で出た構図を口にした。


「鴨志田と瓜生は手を組んで、神流を飲み込もうと結託している。その上で村木を緑川派に取り込もうとして、そして二村はそのカムフラージュ―――ってとこだな」


「ま。それが妥当な線ね」


綾子は肩を竦めてちょっと笑ったが、すぐにその笑顔を拭い去った。


「とにかく、今は水面下で不穏な動きが見られる。あんたも注意深く観察していて。連中は必ずどこかに穴があることを探ろうとする筈よ。


スキャンダルには充分気をつけて」


俺はちょっとだけ目を細めて、遠くを見た。


「分かってるよ」


下手な身動きは取れないってわけか……


考えるように額に手をやると、綾子はとんでもないことを聞いてきた。


「あんた、柏木さんと結婚しないの?」


綾子の言葉に俺は目を丸めて、思わずタバコを取り落としそうになった。






け、結婚―――!!!?








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