Fahrenheit -華氏- Ⅱ
気持ちが大きければ大きいほど―――失いたくないと願う気持ちも比例する。
そして真咲をどうすべきか考えると、あいつへの気持ちが反比例していくかのように沈んでいく。
どうすればいいのか―――
そんなことを考えながらも午前中はあっという間に過ぎた。
12時を過ぎると、緑川がにこにこした顔で俺のブースに顔を出した。
「部長♪お昼ですよ~」
ゲ
シロアリ緑川。何でお前がここに来るんだ。
さっさと自分の縄張りに帰れっ!
なんて思ってると、「約束したじゃないですかぁ。お昼一緒に食べるって。忘れちゃったんですかぁ」なんて唇を尖らせている。
へ…約束……?
緑川の言葉を聞いて、瑠華と佐々木が同時に顔を上げ同じタイミングで顔を合わせ、
「「どーゆう風の吹き回し??」」なんて言う視線を二人して送ってくる。
「言ったじゃないですかぁ。会議室で」
会議室……
あ!
そー言えば、真咲に会う前会議室でそんなような約束したような…
あいつの恋バナが長くなりそうだったから、切り上げようとして約束したんだった。
「時間もないんで、早く行きますよぉ」
緑川は俺の腕を掴んで、立ち上がらせる。
瑠華がじとっと険悪な視線を送ってきたが、
「いやっ。これにはわけが!」と俺は必死の視線で訴えながらも、ずるずると緑川に引っ張っていかれた。