Fahrenheit -華氏- Ⅱ
腐っても鯛……
それって俺のこと言ってる?うーん…言われて嬉しいのか、そうじゃないのか……
複雑そうに苦笑いを浮かべていると、男たちはタバコを吸い終えたのか揃って帰って行った。
あとに残された俺たち二人。
男たちの姿が完全に視界から消えると、俺は慌てて瑠華を覗きこんだ。
「な、何話してたの!?ずっと釣りの話?」
「ええ、釣りの話です。夏休みに下呂に行ってイワナのつかみ取りしてきたって…山内さんが」
山内?誰それ??
ってそんなことどーでもいい。
「イワナの掴み取り。……してみたいの?」
「おもしろそうだと思いましたよ?」
わ、ワイルド~!さすが瑠華!!
瑠華が川に脚を突っ込んで、イワナを捕まえてる姿……
考えにくいが、想像するとちょっと可愛かったり♪
「と思ったのですがやっぱり、捕まえるのは面倒くさいのであなたにお願いします。私は食べる専門で」
やっぱりそうですよね。
気持ち悪くて捕まえられないとかそんな可愛い女じゃない。瑠華は本当に面倒くさいんだ。
でも
にっこり笑顔で言われると、俺は何十匹でも捕まえて彼女に食べさせてあげたくなる。
「あ、でも部長がイワナ捕まえてる姿が想像できないですね。…なんか、変」
前言撤回!
変で悪かったですね!!