Fahrenheit -華氏- Ⅱ



いまどき派閥争い?


なんて思うだろうけど、これが本当のことで、結構根が深い。


表面ではニコニコ笑顔を浮かべているけど、お互い何を考えているやら。


緑川派は常に神流派の勢いを飲み込み、ひっくり返そうともくろんでいる。


分かりやすく説明すると、与党が、自民党から民主党に引っくり返った。政権交代なんて騒いでいるようなもんだ。


つまり、いつ緑川派が神流派を喰い殺すかという問題まできている。


俺も親父からしか聞いてはいないが、最近緑川副社長になにやら怪しい動きあり、とのこと。


神流派の一派と緑川派の一派が料亭で会食なんざしたら、それこそ裏切りの果ての業界永久追放だ。


世界の神流グループを敵に回したらどうなるやら。


一生、まともな職にはつけんよなぁ。


あぁ恐ろしい。




と、まぁ親父の元気なうちは神流派が緑川派に呑まれることはないだろうけど。


問題は―――






俺の代だよなぁ……





なんて若干気弱な考え。


でも、ま。何とかなるかぁ。


なんて言ったって、俺には一回の取引で20億の利益をはじき出す女神―――





柏木 瑠華がついてるもんね!





って、まぁ実際はそう頼ってばかりもいられないけど。



――――…


「……部長、お電話です」

「部長、この書類ですが」

「部長」

「部長っ」

「部長!」




だぁーーーー!!もうっ!!!勘弁してっ!!!




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