Fahrenheit -華氏- Ⅱ
俺も裕二も
愛する人をようやく手に入れたっていうのに
うまくいかないな。
これが俺たちに対する代償なのか―――
気が向くままに求めるままに女を手に入れてきた。
これがそんな俺への―――
罰
――――
――
フロアに戻ると、丁度会長からの呼び出しがあり、俺と瑠華は揃って会長室に向かうことになった。
用件は分かっている。
セントラル紡績のブッキングの件ではない。今度、会長が中国支社へ出張に行く件で―――
向こうの物流管理の事情についての話等だ。
構える必要はない。
それでもしっかりと用意した資料を二人で抱えてエレベーターを待っているときだった。
「神流部長!」
二村の声で、俺はうんざりしたように顔を上げた。
またお前かよ。一体何だよ…せっかく瑠華と二人きり(?)だってのに。
不機嫌オーラを出している俺にも二村はペースを乱さない。
「部長!男が好きって何で嘘ついたんですか!!」