Fahrenheit -華氏- Ⅱ
つまりはこうゆうこと。
アメリカンウェストスターが望む保養所の権利を持つ会社が仮に“A”という会社だとする。
Aは実在する企業で、実際に入札制度でリゾート開発権利をセリに出し、他の企業が入札する仕組み。その入札制度が“B”
Bで一番高値をつけた企業が、その保養所を買い取り、その後は知らない。
一方で偽のリゾート開発権利の入札情報もばら撒く。それが“C”
Aは実際にリゾート開発権利のセリを行うつもりだから、仮にCの問い合わせがきても、彼らはBのセリだと思って別段不審がったりはしないだろう。
単純だけど、これが一番。
―――一方、こっちではアメリカンウェストスターの小野田専務にはすでに話をつけていた。だけど裏でこんなやり取りがされてることは聞かせていない。
小野田専務はこの保養所の権利の案件に乗ってきた。
(※Fahrenheit -華氏-参照)
もちろん彼にはたくみに保養所の件のメリットをお話し意欲を煽った。
そして全てが終わったら―――
ファーレンハイトをアメリカンウェストスター社の傘下に入れてもらうことも―――
小野田専務は途中で、あたしたちの企みに気付いたろうが、そこは何も突っ込んでこなかった。
小さな保養所とともに―――それ以上のメリット、ファーレンハイトがあるからだ。
でもファーレンハイトの件は、日本ではなくアメリカ本社の主要人物に話をつけた。
それが10月11日にされる予定であった。
啓はきっと気にしていたであろう―――真相はファーレンハイトの経営委託依頼をアメリカンウェストスターに持ちかけたっていうこと。
ヴァレンタインとの間に強烈な波風を立てなくとも、ファーレンハイトが手に入ることは
やはりアメリカンウェストスターにとってもプラスだったみたい。
つまりは互いの利害が一致したってこと。