Fahrenheit -華氏- Ⅱ
『できるだけ大規模に、あいつが食いついてくるものに仕上げてみせたわ』
ホームページと偽の資料が出来てから心音は瞳を輝かせて、ワクワク言った。
「そしてぎりぎりまであたしが値を吊り上げる。当然向こうは乗ってくる」
『時間ぎりぎりにあんたが手を引けば』
Bam♪
心音は大仰に言って、両手を広げた。
あたしもその作戦にはちょっと笑った。
夢のような考えが―――具現化してきている。
『偽の入札だと知った後にはヴァレンタインは大損害』
「財団が崩壊するまで行かないまでも、痛手を受けるのは目に見えてる」
損害をなかったことにしたければ、ファーレンハイトから手を引きなさい。
―――あたしたちの考えた作戦はこうだった。
犯罪まがいの危ないやり取り。
一歩間違えばあたしも心音もただじゃ済まされない。
だけどあたしはそれをやってまで―――あいつからファーレンハイトを取り戻したかった。
あれは元々あたしのものよ。奪われたものを取り返す。
What am I doing wrong?
(それの何が間違ってるの?)