Fahrenheit -華氏- Ⅱ


「But, does the strategy go well? (しかしその作戦はうまく行くんですかね)」


思い出したように言われて、俺は額を押さえた。


なるほど、瑠華が英語で話そうと言ったわけが今更ながら分かった。


裕二との会話は全部筒抜けだったわけだ。


ってことは写真のことも!?


あわあわと瑠華を見ると、


「What kind of weak point was grasped by him? (何の弱みを握られたんですか?)」とさっきの甘い雰囲気はどこへやら、冷めた視線が返って来た。


でも、この様子だったらそこまでは聞き取れなかったみたいだ。


「Well……Don't ask me that.(いや…聞かないでくれ)」


俺が枕に顔を埋めると、瑠華の手が俺の髪を撫でてきた。


「Got it.(分かりました)」


ちょっとまばたきをすると、瑠華はちょっと身じろぎして俺を真剣に見据えてくる。


「But I am opposed to this strategy. (でも、あたしはこの作戦に賛成できかねます)


I think that I don't go so simply.(そんなに簡単にいくとは思えないし)」


瑠華の言うことはもっともで、そもそもこんな作戦を実行しようとする辺り無謀なことだ。


「I know.I get that feeling, too.(だよな…。俺もそう思う…)


自信なく吐息をつくと、それでも『写真がかかってんだぞ!』と無理やり自分を奮い立たせる。






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