Fahrenheit -華氏- Ⅱ


あら?あらら…?


「佐々木クンは瑞野さんにラブ?」


俺はにんまりして佐々木を見た。


「ち、違いますよ!」


慌てて否定するも、怪すぃ~


こいつは完全瑠華狙いだったからな、ライバルが一人減るってことだ!


「がんばれよ佐々木っ」


俺は佐々木の肩を力強く叩いた。


こんなことならマドレーヌを佐々木に半分やれば良かったな。


マドレーヌをしっかり腹に入れたけど、さすがに定時の6時を過ぎるとキツイ。


俺は柱にくくりつけてある時計を見て、少し焦った。


何せ今日は綾子&裕二を含む同期だけの飲み会を予定しているからだ。


急いで片付けなければ…


そう思って一時間が過ぎ、7時半を過ぎると、タバコを吸いに喫煙室に向かった。


ホントはこんな余裕ないんだけど…


この時間なら、丁度瑠華がアメリカに着いた頃だ。





この会社は廊下の隅にガラスで張り巡らせられた喫煙ペースがある。


自販機や、腰掛けられるベンチもあってなかなか快適なのだ。


外から覗いて見ると誰もいなかった。


ラッキ♪


そう言えば瑠華がタバコ呑みだと気づいたのもここだった。


彼女は自販機の下でしゃがみ込んでタバコを吸っていたことを思い出す。


って言うか、あのスタイルは何?


いっつもここにくるとあの姿勢なんだけど。


ってまぁ、小っちゃい瑠華ちゃんがさらに小さく見えて可愛いんだけどね♪


そう考えると、早く帰ってこないかなぁなんてため息が出る。






< 34 / 572 >

この作品をシェア

pagetop