Fahrenheit -華氏- Ⅱ




――――

――


真咲の問題もある、そして裕二の問題もある。


まぁ裕二のは何とかなるにしても―――やっぱ今一番はっきりさせなきゃいけないのは…


二村のことだよなぁ。


何せ二村の問題に関しては俺だけじゃなく、親父や瑠華にも関わってくるからな。


ぼんやり考えていて…


サクッ…


「いってぇ!」


俺はまな板の上に転がしたニンジンではなく、自分の指を軽く切ってしまった。


「どうしました!」


と、カウンターの向こうからエプロンを付けた瑠華が慌てて回り込んできた。


てかピンクのひらひらしたエプロン!


何かエロい!じゃなくて、可愛い♪


ちなみに今は瑠華のマンションだ。昨日は瑠華が俺の部屋まで泊まりにきてくれたし、今日は俺が瑠華の部屋にお泊り。


裕二の乱入で、ラブラブな夜がぶち壊されたからな。


今日こそはっ!と思っていたけど、瑠華は「会社の今後のことを話し合いましょう」なんて冷静。


でもでも


どんな理由であれ、一緒に居られることは嬉しい。


「切ったんですか?」と瑠華は俺の手を取り、蛇口を捻った。


水道の口から水が流れ出る。


「よくあるじゃん?怪我をしたら傷口を舐めるってやつ。あれやってくれないの~?」


なんて不満を漏らすと、


「口の中は雑菌がいっぱいです。余計酷くなったらどうするんですか」


と冷たい(?)お言葉。


ラブラブな夜は―――今日も望めそうにない。




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