Fahrenheit -華氏- Ⅱ
『同じ日本人だし、当時住んでた場所で家も近所だったし何かと気が合ったんですよ』
気が合う…ってことは瑠華ちゃんと同じでツンデレ??
ってか瑠華が二人だと会話なさそー…
二人で居るときもいつも俺ばっか喋ってる気がするし。
「パパとママが住んでるのはどの辺?」
『アッパーイーストサイドです』
聞いても分からねぇや。
『いい場所ですよ?今度案内します』
今度……
俺は頬を緩めて笑顔を浮かべた。
それは未来に繋がる約束。
上着の内ポケットにある瑠華の腕時計を取り出した。
向こうでは朝の6時40分。
一週間後にこの時計に流れている時間は俺の時計と一緒になる。
そしていつか、俺がニューヨークを訪れたときもそうなることを
俺は願っている。
「俺は今から同期会だよ。君がいないから寂しくてさぁ。丁度良かったかも」
『お気をつけて。みなさんに宜しくお伝えください。あ。タクシー来た。Hey taxi!」
慌しくタクシーを呼び止める声が聞こえ、
『すみません、これで失礼します』
「うん♪気をつけて」
電話を切ったと同時に喫煙ルームのガラスの扉が開いた。