Fahrenheit -華氏- Ⅱ
あたしは首を横に振った。
「No.……No way.(いいえ…まさか)」
あたしの返事にマックスは口元に穏やかな笑みを浮かべ、そして手袋を外した方の手のひらをそっとあたしの頬に伸ばしてきた。
反射的に思わず後退したけれど、すぐに思い直したように彼を見つめる。
エバーグリーンの瞳がまっすぐにあたしを捉え、彼は安心したように頬を緩めた。
「I like you. (俺は君が好きだ)Fairly,It seems that you don't dislike me. (どうやら君は……俺のことを嫌いじゃないみたいだし)」
「And then?(それで?)」
あたしが先を促すと、彼は僅かに吐息をつき、
「Well……Be said to be would you become my sweetheart? (つまり、俺の恋人になってくれないか?と言う話なんだが)」
ほんの僅かな微苦笑を浮かべて、あたしの頬をそっと撫で上げた。
あたしは目をまばたいて、彼をじっと凝視した。
「Her…(その…)You like me? (あなたがあたしを―――?)」
「I kid you not.(さっきの言葉は冗談じゃないよ)」
マックスははっきりとそう言い切ったけれど、あたしはまだ信じられない想いだった。
だって彼は世界でも有名な財団の子息で、おまけにそれに見合う恵まれた容姿を持ち得ていて―――望めば、どんなに美しい女でも手に入るっていう立場に居るっていうのに。
あたしの中で様々な考えがいったりきたり。
遊ばれるのがオチだ。いいえ瑠華、彼の瞳を見て?
だってとてもきれいな瞳をしている。
「You are the loveliest murderer in the world.
(君は世界一可愛い殺人鬼だ)
Its reason is killed by you whenever I look at you.
(君を前にすると俺は―――いつも理性が殺される)
Whenever I am seen by you, my heart rings high, and if your voice is heard, I can become fortunate.
(君に見つめられるたびに心臓が高鳴り、君の声を聞くと幸せになれる)
Am I strange?(変かな?)」