Fahrenheit -華氏- Ⅱ
とりあえず問題を一つずつ解決していこう。
一つずつ。
「……」
俺は資料室に集まった面々を眺めて、
「You winner!!」
瑠華の手を取った。
「贔屓だ、啓人!俺だって忙しいんだよ、早くしてくれよ!」
と裕二が腕時計を指し示して勢い込み、
「啓人は女性に優しいんだよ、裕二だって分かってたことじゃん。ねぇ啓人、俺のキー知らない?」
とマイペース桐島。
「知らね」
ってかお前の問題も後回しなんだよ。
「……資料…」
瑠華がぽつりと漏らし、
ああ!はいはいっ!!今探しますよ~
とご機嫌に瑠華の方を振り返ったが、
「ありました。もう大丈夫です」
瑠華は「あなたにはもう用がありません」とばかりに、俺に背を向けた。瑠華はどこまでも冷たい。
くすん…
啓人くん悲しい。
―――とりあえず、この場は解決したけれど
解決してもまた違う問題が発生する。
あとから後から……生きてるうちは問題だらけで、解決策を考えそれを実行する。
そんなことが永遠続くのだ。
考え出したらイヤになるし、キリがない。
だけど一つずつ
一個一個消化していかなければならないんだ。
じゃないと、
俺は一生前に進めない。
でもここで留まるつもりはない。
どんな形であれ、俺は必ずけじめをつける。
そして堂々と
目の前に居るこの愛しい人を
俺の恋人だと言いきりたい。