Fahrenheit -華氏- Ⅱ
“送信者:柏木 瑠華
宛先:神流 啓人
件名:Fw:Re:お疲れ様です。
緑川さんからのメールです。転送しましたのでご確認お願いします。”
短い文に俺は目をまばたいた。
シロアリ緑川??
“----- Original Message -----
From: 緑川 葉月
To: 柏木補佐様
Sent: Fryday, October 21, 2011 18:02 PM
Subject: お疲れさまです。
柏木補佐様
お疲れ様です。
急でごめんなさい。どうしても柏木補佐とお話ししたいことがあります。
明日少しでいいので時間を作ってくれませんか?
緑川”
緑川のメールに俺は再び目をぱちぱち。
さりげな~く、振り返ってパーテーションの向こう側を覗き込むと、シロアリ緑川はまたも陰険村木に小言を言われながらも雑務をこなしている最中だった。
“話したいこと”って何だ―――?
怪訝そうに瑠華を見ると、彼女は少しだけ眉を潜めて佐々木の方を目配せした。
佐々木は、俺たちの視線の会話に気付いていない様子で黙々と自分の仕事をこなしている。
いや、気付かれてはいかん。
俺はキーボードに指を滑らせ、
“話ってなんだろう”
と瑠華にメールを送った。