Fahrenheit -華氏- Ⅱ



「A company spokesman said the firm has received orders after suspending sales, but it could do nothing about them.
(「販売中止後にも追加注文したいという連絡がありましたが、対応のしようがない」と担当者に言われました。)


Excuse me.(ちょっと失礼します)」


瑠華は電話を中座し、


「で?」


と短く聞いてきた。


「そ、それでさ、裕二のマンション実は南品川だったんだよね」


俺は忙しそうにしている瑠華にあせあせと説明をした。


「そんなこと電話で伝えてくれればいいじゃないですか」


と、瑠華は不機嫌…?


「はい、すみません」


でもでも!何か理由を付けて瑠華のお部屋にお泊りしたかったんだもん!


「I'm sorry.
(ごめんなさい)


I'll let you know how it works out.
(その件はまた後日改めさせていただきます)」



再び通話を開始した瑠華は、それでも長引かせることはせず、やや強引と呼べる仕草で通話を切った。


コンシェルジュは慣れているのか、それとも無関心なのか、瑠華が通話を終えた頃を見計らって、


「柏木様に郵便物が届いております」


「ありがとうございます」


と数枚のダイレクトメールや手紙類を取り出し、彼女に差し出した。


瑠華が受け取ろうとした瞬間、またも


TRRRRR


彼女の携帯が鳴り出し、


「Shoot!(もう!)」と言ってまたも不機嫌に顔を歪め、


「すみませんが荷物を受け取ってください」と俺に指図する。


はい!受け取らせていただきます!!



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