Fahrenheit -華氏- Ⅱ



―――




「食事だったらホテルでもできるよ♪」


俺は運転しながら食事できる場所を探しつつも、性懲りも無く瑠華をホテルに誘っていた。


「行きません。おなかすきました。


あと五分以内に見つからなければ―――…」


言いかけて瑠華は口を噤んだ。


見つからなければ、何…??


はっ!


もしや別れるとか!?


そんなぁ~~~!!


泣きそうになりながらもハンドルを握っていると、


「見つからなければ一ヶ月間セックスなしってことで」


はぁあああ!!!?


「一ヶ月!?無理っ」


一ヶ月も瑠華の体に触れないって、無理!


俺がキっと目を吊り上げると、


「じゃぁ四週間で」


「つか、それ週に置き換えただけじゃん!しかも月によっては三週間以上ある月だってあるじゃん」


俺が猛反対をすると


「Dammit.(ちっ)」


瑠華は小さく舌打ち。


あの、瑠華さん……?俺が騙されると思ったんですか。


繋いだiPodから、音楽がまたも流れてきて、でもさっきの重々しい怒りの音楽じゃなく


明るいアップテンポの洋楽。


Spice Girlsの「Wannabe」に変っていて、


その明るいテンポと、男心を挑発されるような意味ありげな歌詞が流れてきて、


当時のメンバーで若い時のビクトリア・ベッカムもエロくて…ごほん、失礼、綺麗だったんだよな~


と意識が逸れつつあるとき


瑠華は曲に合わせて小さく口ずさんだ。





「I won’t be hasty, I’ll give you a try.
(私は急いじゃいない、あなたに試させてあげる)


If you really bug me, then I’ll say goodbye.
(私の邪魔をするのなら、その時はサヨナラね)」








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