Fahrenheit -華氏- Ⅱ




「でね部長!二村君やっぱりどこかこそこそしてるんですよ!」


緑川は俺にすっかり気を許したように、さっきからぺらぺらよく喋る。


分からんな…


何がって??


一瞬でも緑川を可愛いと思って、しかもダイヤとか言っちゃう自分がだよ!


「…そろそろ部屋に戻ったら?二村、心配してんじゃないの?」


呆れたように言うと、


「…心配なんてしてないもん」


またもしゅんとなって項垂れる緑川。


はぁ


俺は緑川に気づかれないようこっそり吐息を吐いて


「てかさー……いつの間にキミたち部屋にお泊りする関係になってんの?」


ニヤニヤと下卑た笑いを向けると緑川が顔を赤くした。


まぁ緑川のあのボディーに迫られたら大抵の男はノックアウトだ??


うまくやったぜ、二村よぉ。


てかヤれなかった俺はどーなの。


まぁ??瑠華が居るから緑川に手を出すとかありえねぇけどな。


あのボディーを見せ付けられて反応しなかった俺は、自分が不能なのかと悩んじまったけど、


でも俺は一瞬でも不能になるぐらい瑠華のことを想っている。



――――…


生垣に腰掛けくっちゃべっていると、


ガー…


自動扉が開き、エントランスホールから



二村が現れた。


白いワイシャツにスーツのパンツ。





「葉月、遅かったから心配……」





言いかけて、緑川の隣に座っていた俺を目に入れると二村は目を開いた。







< 484 / 572 >

この作品をシェア

pagetop