Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「でね部長!二村君やっぱりどこかこそこそしてるんですよ!」
緑川は俺にすっかり気を許したように、さっきからぺらぺらよく喋る。
分からんな…
何がって??
一瞬でも緑川を可愛いと思って、しかもダイヤとか言っちゃう自分がだよ!
「…そろそろ部屋に戻ったら?二村、心配してんじゃないの?」
呆れたように言うと、
「…心配なんてしてないもん」
またもしゅんとなって項垂れる緑川。
はぁ
俺は緑川に気づかれないようこっそり吐息を吐いて
「てかさー……いつの間にキミたち部屋にお泊りする関係になってんの?」
ニヤニヤと下卑た笑いを向けると緑川が顔を赤くした。
まぁ緑川のあのボディーに迫られたら大抵の男はノックアウトだ??
うまくやったぜ、二村よぉ。
てかヤれなかった俺はどーなの。
まぁ??瑠華が居るから緑川に手を出すとかありえねぇけどな。
あのボディーを見せ付けられて反応しなかった俺は、自分が不能なのかと悩んじまったけど、
でも俺は一瞬でも不能になるぐらい瑠華のことを想っている。
――――…
生垣に腰掛けくっちゃべっていると、
ガー…
自動扉が開き、エントランスホールから
二村が現れた。
白いワイシャツにスーツのパンツ。
「葉月、遅かったから心配……」
言いかけて、緑川の隣に座っていた俺を目に入れると二村は目を開いた。