Fahrenheit -華氏- Ⅱ
結局、俺がキッチンに立ち、鮭とレタスのさっぱり炒飯を作る羽目に。
手際よく炒飯を作り、おまけに鶏がらスープで中華スープまで作った俺。
出来上がった炒飯を口に入れて
「うっま!!」
裕二はスプーンを握ったまま顔を輝かせた。
確かにうまいけどな…だって俺が作ったんだぜ?
でも
「何が悲しいかな、野郎と手作り炒飯食ってる自分…
ああ、今頃瑠華は綾子とおっしゃれ~なイタリアン…
パスタとかバゲットサンドとか食ってんだろうなー…」
はぁ、あっちに混ざりてぇし。
「意外な特技だよな、料理作ってくれる女いらねぇじゃん」
「当たり前だ。俺は瑠華が居れば他の女なんて要らねぇ」
中華スープの椀を持ったまま歯をむき出して言うと
「柏木さんは料理上手?」
と聞いてきた。
「何だよ急に」
「いや~あの人が包丁握ってるの想像するとサ、可愛いって言うより
なんかリアルで怖い。
野菜や肉じゃなく男の体を刺しそうな勢いだもんな」
アハハ!と笑う裕二をぶっ飛ばしたくなったが、そうできなかったのは
その話半分リアルだからだ。
まぁ相手は俺じゃないし、実際刺したわけでもないがな。
そー考えると、俺マジで瑠華には包丁握らせられない!