Fahrenheit -華氏- Ⅱ
最初はマックスが連れて行ってくれたお店のお料理がとってもおいしくて凄く幸せな気分になって素直に喜んだら
彼も楽しそうにしてた。
I love you who eat a lot.
(たくさん食べる君が好きだ)
そう言ってそっと唇を撫でたあの人の指先は、
数年後、
「Don't make stress into my cause.
(ストレスを俺のせいにしないでくれ)」
って呆れて指差し。
こんな小さなことまで振り返ると思い出してしまう。
何がいけなかったの。
あたしの何がダメだったの。
どうしてあたしは―――変らず彼に愛されることがなかったのだろう。
マックスは嘘ばかり。
だけど、人の気持ちほど不変的なものはない。
そう気づかされた。
そこに愛はなく、あたしは彼への気持ちを捨てるように
彼の目の前で食事をダストボックスに投げ入れた。