Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「オーランド・ブルーム…あのパイレーツオブカリビアンの?あたしはジョニー・デップの方が好きだけど」
「主演映画はどーでもいい。しかもお前の好みなんて聞いてねぇ!とにかく目の前にいきなり現われたらどーするよ」
「何よ急に」と綾子はちょっと怪訝そう。
「何だよ、お前ハリウッドでも行くのか?」と裕二が横から割り込む。その顔には本気で俺の話を聞こうとする体勢ではなかった。
「マリも好きだったよ。オーランド・ブルーム」
「桐島、お前には聞いてない」←ヒドイ
「んー…とりあえずサイン貰うかな?」
綾子は腕組みをして、ちょっと首を傾けた。
「何、お前。ああゆうのがタイプなわけ?」と裕二が不服顔。
「タイプとかじゃないけど、イケメンじゃない?ジョニーの方が好きだけど、あの手の顔も結構好きよ♪それに向こうの人って情熱的じゃない?」
「何だよ、俺ぁ情熱的じゃねぇってのか」
「例え話よ、例え。あたしには裕二辺りが丁度いいのよ♪」
「情熱的な裕二ってちょっと気持ち悪いよ」と桐島。可愛い顔して結構ヒドイなお前。
「なにおぅ!」
あの~…勝手に話を進めないでクダサイ。
「「「で、そのオーランド・ブルームがどうした?」」」
三人が一斉に俺を見た。