Fahrenheit -華氏- Ⅱ
ヤバイ!
ヤバイやばいヤバイ!俺が神流の跡取りだと知られたら最後。
俺、何やってんのヨ。自分の首絞めてるようなもんじゃん。
よぉく考えたら女は裕二を訪ねて“俺の”会社まで来てたし。
それからかれこれ一時間程、女からの質問責めに合った。
普段どこでデートしてるのか、会社にはカミングアウトしてるのか、二人はどうゆう仕事をしてどうゆう関わりがあるのか……と、ほとんど仕事と恋愛の関係性の話を聞いてきた。
それのどれも、俺たちはあやふやな答えを何とか返すのが精一杯。
だからか、女にその不自然さを突っ込まれる。
「帰りは一緒に帰るの?」
何度目かの質問にうんざりしながら、「まーたまにはね~」とこちらもぞんざいに答えているときだった。
バタンっ!!
突如大きな……音?扉が閉まる音が聞こえて、俺たち三人は揃ってビクリと肩を揺らした。
「待ってください!綾子さん!」
瑠華の声が聞こえる。
へ!?何で……?
瑠華の慌てた声が聞こえるってことは………俺はちらりと裕二の方を見ると、裕二はこっちがビビる程顔色を蒼白にさせていた。
「待てないわよ!一体、何を隠してるって言うのよ!?
裕二!裕二、居るんでしょ!」
サイアク
まさかの綾子登場―――
これで修羅場からもう完全に逃げられない。