Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「「「柏木さんがオーランド似の男からプロポーズされてる!!?」」」
三人は目を向いて勢い込んだ。
「もしかして…あの不倫の相手?」と裕二。
「いや、不倫じゃなかったみたいだけど。元カレ…?って言うの??」
「はぁ~それはまたすっごい強敵ね。相手は向こうの人?」
相手とか言うなよ…
「まぁそうだけど…」
ついでに顔だけじゃなく、背も高けりゃ金も持ってる。
「そんなんで柏木さんをアメリカに行かせてあんた大丈夫なの??」
う゛!
イタイとこ突くな…
「だって、俺と付き合う前から計画してたしぃ、そいつと会うと決まったわけじゃないし…」
俺はイジイジとテーブルの上で指をこねくり回した。
「そりゃそーだけど。不倫じゃなきゃどうして柏木さんはその男と別れたわけ?」
裕二がジーマの瓶をゆらゆら回した。瓶の中でライムがゆらゆらと転がる。
さながら瑠華と俺の関係みたいだ。
いつまでも彼女に振り回されてる俺。
いや、振り回されてるじゃねぇな。彼女にそのつもりはなさそうだし。
ってかそんなことどーでもいいっつの!
「詳しい話は、はっきりと聞いてない。でも不倫じゃないぞ?」
俺は若干の嘘を交えて裕二を見据え返した。