Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「オーランドかぁ…」綾子が身を乗り出すと、俺をじっと見てきた。
な、何だよ!
「ま、あんたじゃハリウッド俳優と芸人ってとこね。はいっ!負け~」
「綾子てめっ!」
裕二が腹を抱えて笑いを堪えてる。
はい、そこ!!笑うなら全面的に笑えっ!!
分かってるよ。
俺が太刀打ちできないってこと。
隣でのんびりとマイペースにキューバリバーを飲んでいた桐島がやんわりと口を開いた。
「そう?啓人のことかっこいいってマリは言ってたけど?もっと自信もっていいんじゃない?柏木さんは啓人を選んだわけだし、啓人には啓人だけの良さがあるしさ
大体啓人が自分を誰かと比べるなんてらしくないじゃん」
「き、桐島~~~!!」
俺はガバッと抱きついた。
「いい奴♪」
「ギャーーー!!」
綾子が悲鳴を上げる。
「なんっで綾子に抱きつくんだよ!」と裕二の鉄拳が飛んできた。
裕二の拳を頭に受けた俺は、ひりひりする頭を抑えながら裕二を睨んだ。
「だって男なんて固いし、いい匂いしないもん。体だけは女な綾子がいいじゃん」
「「死んじまえっ!!」」
綾子&裕二の声がまた綺麗にハモった。