Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「瑠華は最初渋ってたけどね。
でも会社ってキレイなものだけでは作れない。どんなものでも利用できるものはしなくちゃ」
心音ちゃんはあっさり言ってワイングラスに口を付ける。
今、気づいた。薔薇でもなく血でもなく、それは心音ちゃんが今日付けてた口紅の色と似ていたんだ。
俺は心音ちゃんの意見に
賛同できる。
経営者だけじゃない。会社員だってそう。そのハングリーさがあるかないかで、出世街道に乗れるか乗れないか左右されるのだ。
だからある意味二村がやってることも、俺の考えでは「No」ではないが、やり方には賛同できかねる。
「最初はホントにBusinessだけのつもりだった。ちょっと顏を売っておけば何かの時に役に立てるかと思ってたし。
Maxは女好きで派手に遊んでたけど、瑠華がタイプだとは思わなかったしね」
なぬ!?瑠華がタイプじゃないだと!?
あんな美人を紹介されたら俺なら速攻で口説きに掛かってるってのに!
「Maxの好みはBrunetじゃなく、Blond派だったし。お堅い感じの瑠華よりも軽く遊べる手軽な女が好きだったから」
……何か……激しく誰かと被るんスけど……
ブルネット(黒髪)かブロンドか、にはこだわらないが…
「ほら、アイツ顏だけはいいでしょ?おまけにValentineの名前もお金もあれば、言い寄ってくる女はたくさんいたわけよ」
ああ……
もう否定しようがないぐらい似てる。
それって前の
「俺」
とまんま一緒じゃん!!!