Fahrenheit -華氏- Ⅱ
この、かたぶつ桐島が!!?
このリアクションに、俺もそうだが残りの二人もびっくり仰天。
驚きに目を丸めている。
「順番が逆っちゃ逆だけど。高校時代の先輩と偶然再会してさ、飲みにいったんだけど、酔っ払った勢いで……その…」
「みなまで言うな」
俺は桐島の肩を叩いた。他人事ではないからだ。
そんなこと過去の俺だったら吐き捨てるほどある。
朝起きたら知らない女が隣で寝てたなんて。ありがちな失敗だ。
「それで契約を?」
「まぁ困ってるって言ってたし」
「お前もお人よしだなぁ。そんなんヤり逃げすれば良かったじゃん」と裕二はあくまで他人事。
俺もその意見に同意。
「桐島くんはあんたとは違うのよ!」綾子が声を揺らして裕二を睨む。
裕二は面白くなさそうに綾子を睨み返していた。
っても過去の話じゃねぇかよ。時効だ、時効!
「んで?その更新に来たのも先輩?」
俺はワクワクした様子で聞いた。
禁断の恋!再会した二人。いけない恋心に再び火が!?
なんで昼ドラチックな言葉が頭に浮かぶ。
だけど、
「ううん。その先輩は結婚して辞めちゃったから。今は担当が代わったらしいよ。あ、でも可愛い子だったな」
「「可愛い!?」」
俺と裕二が身を乗り出す。
「ちょっと!あんたたち」綾子が睨んできたが、俺はその視線をスルー。
「顔が外人っぽくて、背が高くて…変わった名前だったから印象に残ってるんだ。…確か……み…?」
外人ぽい?背が高い?しかも変わった名前って。
「あ、そうそう啓人の知り合い?彼女は啓人のこと知ってるみたいだったけど。同期だって説明したらびっくりしてたよ」
………知り合い…って、あいつかーーー!!