Fahrenheit -華氏- Ⅱ
水澤さんは俺から携帯を奪うと、
「ほぅ。これはこれは…」と満足そうに頷いた。
「あ。ホントだ。可愛い~♪」
「啓人にはもったいねぇんじゃねえの?」
そしてまた同じタイミングで顔を上げると、
「「「今度連れてこい♪」」」
なんてこれまた綺麗にハモッて俺を見る。
「アメリカ行ったって、旅行だろ?すぐ帰ってくるんだろ?」
「ええ、まぁ一週間の予定ではありますけど」
俺としたことが……
「仕事では女神って、同じ会社?お前仕事何だっけ?」
とこれまた初歩的な質問。
「あれ?俺言いませんでした?」
「いんやぁ」
って、まさかまさかの質問だけど……
「……ってか俺の名字知ってます??」
「「いんやぁ」」
おい!メンバー表ちゃんと見ろよ!!何なの!このいい加減な人たちわっ!
俺もいい加減だけど、この人たちは最上級だ。
まぁそれでも憎めない人たちではあるんだなぁ。