Fahrenheit -華氏- Ⅱ
―――……
月曜日。祝日だってのに、会社はいつもどおりだ。
昨日走り回ったせいかな。
あちこちが筋肉痛だ。
「いてて」
腰を押さえながらコピー機に向かっていると、背後からのそりと二村が姿を現した。
「腰押さえて、やぁらし♪昨日がんばり過ぎたんですかぁ?♪」とまたもにんまり笑顔を浮かべている。
こいつは…
何で週始めだってのに、そんなに元気なんだよ。
おまけに無駄なぐらい爽やか。(話の内容は全然爽やかじゃないが)
「違げーよ。昨日は爽やかに野球少年でした」
「野球!プレイの方ですか?へぇ、意外だ。イメージじゃないですね」
それ、瑠華にも前に言われました。
二村…こいつはいつも神出鬼没だ。
っても、まぁコピー機が隣の物流管理情報部と合同になってるからな。
まぁ仕方ないっちゃ仕方ないけど。
こうゆうときに何故か大量にコピーを取ってる俺。
ホント、タイミングわりぃ。
「まだかかりそうです?出直してきたほうがいいかな?」
二村もコピーにかける書類を手にしていて、ちょっと持ち替えた。
その瞬間、書類は二村の腕の中からするりと抜けた。