Fahrenheit -華氏- Ⅱ


―――……


月曜日。祝日だってのに、会社はいつもどおりだ。


昨日走り回ったせいかな。


あちこちが筋肉痛だ。


「いてて」


腰を押さえながらコピー機に向かっていると、背後からのそりと二村が姿を現した。


「腰押さえて、やぁらし♪昨日がんばり過ぎたんですかぁ?♪」とまたもにんまり笑顔を浮かべている。



こいつは…


何で週始めだってのに、そんなに元気なんだよ。


おまけに無駄なぐらい爽やか。(話の内容は全然爽やかじゃないが)


「違げーよ。昨日は爽やかに野球少年でした」


「野球!プレイの方ですか?へぇ、意外だ。イメージじゃないですね」


それ、瑠華にも前に言われました。


二村…こいつはいつも神出鬼没だ。


っても、まぁコピー機が隣の物流管理情報部と合同になってるからな。


まぁ仕方ないっちゃ仕方ないけど。


こうゆうときに何故か大量にコピーを取ってる俺。


ホント、タイミングわりぃ。


「まだかかりそうです?出直してきたほうがいいかな?」


二村もコピーにかける書類を手にしていて、ちょっと持ち替えた。


その瞬間、書類は二村の腕の中からするりと抜けた。







< 70 / 572 >

この作品をシェア

pagetop