Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「部長もコピーですかぁ?珍しい」
笑顔…と言うよりも色気を振りまいて緑川はにこにこ。
「ああ。俺んとこは今手薄なんでね」
腰をあげた瞬間、ギリリと鈍い痛みが走った。
ってー…
思わず腰を押さえる。
「どーしたんですかぁ?」
「昨日頑張りすぎたんだって♪」と二村。
おいっ!二村ぁ!!
「頑張りすぎたって……ぇえ??」緑川が顔を歪め、ちらりと俺を探るように上目遣いで見さらに俺のブースの方を目配せする。
何だよ!その意味深な視線は!?っつか、ヤってねぇって!本人居ないじゃんかよ!
「野球をね♪」
二村は意味深に緑川に笑いかける。
こいつ~……明らかに俺の反応を楽しんでやがる!
俺を弄っていいのは瑠華だけだ!
瑠華以外の―――それも男に弄られる趣味はねぇ!!
「コピー機もまだまだ空きそうにないし、また出直してきますね♪」二村はにこにこと笑って俺に背を向けた。
「二村」
俺の呼びかけに二村がゆっくりと振り返る。
「お前ペアリングどこで買ったの?」
俺の言葉に、二村はぎくりとした様子で俺を見据えてきた。