秘密少女の非日常。Ⅱ
『はいっどうぞ!!』
ドンッとお茶を会長の目の前に置いた。
ちょっとだけお茶が零れたのは言うまでもない。
「ありがとう。遅かったね。」
『お待たせして申し訳ありません。』
いかん。ムカつきのあまり声が震える。
でもちゃんと笑顔で答えた。まあ、超ひきつり顔だけど。
とりあえず席に着きお茶を、熱いわけでもないのにふうふう、と息を掛けて冷ます。
ほのかに香るバニラの匂い。
その匂いはあたしのお茶からではなく、目の前のヤツのもの。
「ん?甘い匂い…?」
不思議に思った会長はあたしを見てきた。
『はい。何でも慧サンが、お茶がより美味しくなるための香りと味付けを少し加えた、と。』
勿論嘘八百。そんなものあるはずなかろーが。
バレない様ににっこりと笑う。
怪訝な顔をしているので、あたしが一口飲んでみせた。
『おいし~!流石慧サン!!お茶にまでこだわってるわー!』
まあ あたしのは普通のお茶だから普通に美味しいんだけどね。
それに続いて会長も一口。
「ぶっ!!…っ…ゴホッ…っ!!?????…!!」
飲んだ瞬間むせるわむせるわで。
あたしの心は晴れ晴れだ。
こんなあたしは一種の鬼ではないかと自分でも思う。
でも…
『ふっあっひゃっひゃっひゃっひゃっひー!!ナッナイス会長!!』
面白いことこの上ない。
お腹を抱えて笑い親指を立て、グッとする。