秘密少女の非日常。Ⅱ
―――――…
『はあ…、で?何があったの?』
あれから、涼が怪しげな言葉を言っていたが全て聞き流し、というより聞かないように周りを眺めて平和だなあ、と軽く現実逃避していた。
未だに、何かをブツブツ言っていたので強引に本題へと促した。
「…実はね、私には従妹がいてね。その従妹ってのがウザくてキモいしナルシだしキモいしで、とにかく私の半径10キロ内には入ってほしくない程嫌いなの。でも、ヤツは私が嫌ってる事にも気づかないのよ、きっと脳ミソはゾウリムシ並みね。そのゾウリムシがいきなり家に来ることになったの。ここまでは理解できた?」
『うん。涼がそのゾウリムシをかなり嫌いなことは分かったよ。』
他は意味分からんかった。
「チッ、今ので分かれよ愚民が。ボソッ」
……小さな声で言ったつもりでしょうが真冬さん、聞こえてましたよー。怖いよー。お家に帰りたいよー。←
涼の話を要約するとこうだ。
そのゾウリムシが母親と喧嘩をし、家出すると言ったらしい。そして、母親が家出するなら義姉さん(涼の母)の所に行きなさいと、まあその時点でもう家出とか。と思うがなんとまさかのゾウさん(長いのであだ名)がそれはいい!!と言って二人で仲良く家出の準備をしたらしい。それが、昨日の夜の出来事。
『……あれだね、なんての、とても…個性的でステキな脳細胞をお持ちの方々でいらっしゃいますね。』
「良いのよ、正直に言っても。実際私も思ってる事だから。」
…………。
『スッゲーな!!どこぞのアホだよ!!もうそれ家出違うしっ!仲良く準備って、お泊まりか遠足にでも行く気か!!』
「でしょ!?ただのバカよね!?でも母様はそんなバカ二人を微笑ましく見ていたり、あまつさえ私とあのゾウさんが仲良し姉妹の様ね、とか言ってきたのよ!!?もう私、それが嫌で悲しくて堪らなかった…」
涼はそう言って顔に両手を当てて覆った。
そんな涼にあたしは哀れみの含んだ目で、ぽんと肩を軽く叩いた。
『苦労、してんのね。』
「そんな哀れんだ目でしみじみと言わないで!!むなしくなるわ!!」
『相談ぐらいなら乗るよ?』
「あんたただ話聞きたいだけでしょ!!」
『あれ、バレた?』
テヘ、とふざけて言ってみる。
「当たり前よ!!」
「誰かー!お願いだからこの鬱憤を晴れさせてーっ!!」
ゾウさんにせばいいじゃん、ということは言わないでおこう。本当にしそうな気がする。