髪の短い天使


優しいお兄さんだね。









だが、美幸は疑い深い目で、お兄さんを見ていた。








どこか、二人の間には、険悪なムードが流れている。







「嘘ですよね。あなたが、私のたかが体育祭のために、わざわざ来るなんて、有り得ないですよ。」








何を言っているんだ。








たかが、体育祭って……








「ひどいな……そう嘘だってはっきり言わなくたって、いいじゃないですか。」







さっきから、思ってたんだけど、お兄さんは話すとき敬語なんだ……






美幸も敬語だから、どこか二人の間に溝が、あるみたいだ……







「私は、あなたの性格を、理解したうえで、言っているだけです。で、本当の目的はなんですか?」







お兄さんは、ニヤっと笑って言った。







「目的なんて、いるんですか?僕は、ただ単に美幸に会いに来ただけですよ。どうですか?色々頑張っていますか?」








美幸の表情が、さっきより曇った気がする。







今の、お兄さんのひとことに何が、隠されているんだ?






私にはわからない……










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