髪の短い天使
そういえば、私は美幸のこと、何にも知らないな……
美幸に、お兄さんがいたなんて、知らなかった。
モデルをやってて、彼氏がいる。
美幸についての情報は、それしか知らない……
二人は、無言で睨み合っていた。
私は、二人の間に入れないだろうな……
私は、美幸の横で影同然で、ただボーッとたっていた。
「ところで、そちらは友達ですか?」
いきなり、お兄さんと目が合った。
「兄さんには、関係のない人です。」
私は、美幸の憎まれ口を、無視してお兄さんに、自己紹介をした。
「はじめまして。雨宮麗です。」
お兄さんは、私をじーっと見つめたあと言った。
「美幸の彼氏ですか?」
私は、手をおもいっきりふって否定した。
「わ、私は女です。美幸は、私の親友で……」
美幸のお兄さんは、笑っていた。
優しく笑って、私を見ていた。
美幸は、なんでお兄さんと仲が悪いんだろう……