髪の短い天使
焦る私を余所に、美幸は話を続ける。
「私と兄さんは、いとこ同士。私は、今の両親の子供じゃない……。今のお母さんの、妹の子供……それが私なの。」
お兄さんと、美幸は本当は、兄妹じゃなくて、いとこか……
「戸籍上は、もう本当の兄妹なんだけどね。兄さんは、私をまだ認めていない。」
認めていない……
「兄さんに認めてもらうため、私はモデルの仕事、バレエ、習字、歌、ダンス、ピアノ、ギター、水泳……これを、全部遣り遂げていた。でも、いつも兄さんはあの意味不明の笑顔で、何も言わなかった。」
そんなに、習い事していたんだ……
でも、意味不明な笑いだけで、美幸を認めていないとは限らないよな……
私は、考えれば考えるほど、この兄妹がわからなくなった。
難しいよな、私には。
「それに……私は前の学校にすごく仲が良い友達がいた。名前は、頼〈より〉っていうんだけど、学校ではいつも一緒にいたと思う。」
初耳だ。
よく考えれば、私は美幸の前の学校でのことを知らない。