髪の短い天使
記憶のどこか奥底にしまった両親の愛。
こんなところで思い出すなんて……
私は、自分でも驚いたけど、涙が頬を伝っていた。
「何々?!そんなに、そのパン美味しいの?」
遥さんが、真面目な顔をして、私が食べているパンを、凝視していたので、思わず笑ってしまった。
「麗さん、幸せそうに笑うね。」
遥さんが、笑顔で言う。
幸せ?幸せそうな笑顔ってなんだ?私は、どんな笑顔をしているのだろう……
「あーー!!麗さん、美容院!車出してるから、早く食べて来てね!」
あわただしく、遥さんが出ていった。
それを見て、トムさんがふふっと笑った。
「麗、遥さんと俺には子供がいないから、麗は本当の子供見たいなものなんだよ。だから、遥さんに、甘えていいんだよ?」
甘える。
私は、ずっと申し訳なくて仕方なかった。新婚生活に、私は、邪魔なだけだと思ってた。
確かに、遥さんとトムさんの間には子供がいない……そう考えたら、私は、二人の子供見たいなものなのかな………?