髪の短い天使
美幸ちゃんは、徐々に私に近付いてその距離、1メートル。
手を伸ばせば、届く距離。
美幸ちゃんの、整った顔がこんなに近くにあると、少しドキドキする。
といっても、恋とかじゃないから。同性だし……
美幸ちゃんは、私の髪に手を伸ばした。
美幸ちゃんの身長は、150センチメートル。
私の身長は、女子にしちゃでかい。170センチメートル。
美幸ちゃんは、辛そうに手を伸ばした。
「髪の毛ちょーぐしゃぐしゃ。女の子なんだから、そんくらいなおしなよ。」
私は黙って、差し出されたくしを受け取った。
そんな私たちのやり取りを、クラスのみんなは何気なく聞いていたらしく、何やらコソコソと話している。
確かに、私は背だけがでかくて、髪の毛は短くてボサボサ。髪の毛傷んでるせいか、染めてもいないのに、もろ茶髪。
美幸ちゃんは、髪の毛がすごい長くて、綺麗なストレート。しかも、綺麗な黒髪だ。
私たちは、何もかも正反対だった。