髪の短い天使
「麗ちゃん!」
後ろを見る。美幸が立っていた。
「兄さんも。」
美幸は私と幸太郎さんを、交互に見る。
「もう、いい加減にして。」
美幸は下を見る。
「あのね、麗ちゃん。」
私は、美幸を見る。まだ下を向いたままだ。
「それ、全部嘘よ。」
嘘?
はい?
嘘?
「そう、嘘。あのね、兄さんは頼に、美幸が頼さんが神谷くんのことを好きだと知ってるよ、って言ったの。」
話がずいぶん違う気がする。
「そしたら、頼は、知ってて神谷くんと仲良くしてるところを、私に見せてたの?!って怒っちゃって。」
信じてた。美幸のことを、親友だと思っていたから、今まで神谷くんのことを我慢していたのに、美幸はそんな私を見て、笑ってたの?
そう、頼って子は考えるわけだ。
結局、幸太郎さんのおもうつぼに、頼って子はハマっちゃっただけなんだ。