髪の短い天使
「あの……幸太郎さんは、なんで頼って子に、そんなこと言ったんですか?」
幸太郎さんは、美幸をじっと見つめたまま、静かに答えた。
「美幸の親友だと思ったから。」
ん?
美幸の親友だから言った?
「もう!兄さんは昔っから、いつも何考えてんだかわからない。」
まさか、幸太郎さんは、美幸のいう親友との絆は、どれほどか確認したかったんじゃ……
そうだとしたら、さっきの嘘話は、私へのテスト。
私と美幸との絆は、どうだったんだろうか。
そういえば、一番最初に幸太郎さんに会ったとき、美幸て幸太郎さんは、敬語で話していたのに、今は普通に兄妹みたいに話している。
不思議だ。美幸と幸太郎さんとの間の何かがなくなったようだ。
美幸は、幸太郎さんが美幸のためにこんなことをやっているのに、気がついたんだろうか。
いや、美幸は気がついていた。頼って子の時から、幸太郎さんがなんのためにしているのか。