髪の短い天使
でも、美幸がそのことに気がついていることに、幸太郎さんは気がついていないから、おんなじことを繰り返す。
な〜んだ。ただの、ことば数少ないだけの、仲のいい兄妹じゃん。
「何か、面白いね。二人とも。」
あははと笑う私を、二人はなぜ笑っているのかわからなそうに、仲良く見ている。
いとこだろうが、今は兄妹。
仲良くしないと、ダメだよ?
私と美幸は、体育祭の反省会のことをすっかり忘れ、大遅刻をして、反省会の反省をするはめになった。
最悪だったけど、私は、幸太郎さんと仲良くなれたのが嬉しかった。
美幸も、昨日よりはいい顔を、今までよりいい顔をしていた。スッキリしたようだ。
「麗ちゃん。」
反省会の帰り、美幸に呼ばれて振り返る。
「私なんかの、親友になってくれてありがとう。」
なんだ、いきなり。
「私ね、頼ともう一回話し合うことにした。」
私は、そんな美幸の顔を見て安心した。
「なんだ、なんだ。いつもの美幸らしくない。私なんかって、ナルシストが言っちゃいけないワードナンバーワンだよ。」
私は、そう言って歩き出す。美幸も横で一緒に歩く。
「何それ。」
「大丈夫だよ、美幸なら、頼さんともうまくいく。だって、私の親友だもん。」
親友っていいな。
私と美幸は、仲良く笑いながら、帰路についた。
美幸に出会えてよかったな。幸太郎さんにも、会えたし。
今度、神谷くんにあわせてもらおう。私は、密かに計画を立てることにした。