髪の短い天使
私と一緒にっ?!
でも、でも……
「女優は、美幸の夢なんじゃないんですかっ?!」
私は、思わず大きな声で言う。周りの人が、こちらを見ているのに気がつき、縮こまった。
「確かに、美幸は小さい頃から、女優になりたいって言ってたんだけどね……」
なんで、なんで、美幸は自分の目の前にある夢に手を伸ばさないんだろう……
「美幸は、麗さんと一緒にいたいんだよ。麗さんが好きなんだよ。」
幸太郎さんから、好きと言う言葉が出ると、少しドキッっとする。
「でも、例え離れてても、ずっと会えないわけじゃないんだし……夢を諦めるのはおかしい。」
普通の高校なんかにいったら、絶対に女優業との両立は不可能だ。
演技の稽古とか、ダンスレッスンとか、普通に学校に行くのは無理だろう。
「だから、麗さんに相談したんだけどね……ねえ、麗さんなんとか美幸に言ってくれないかな?」
私がっ?
「いや、きっと僕より麗さんの方が、美幸は考えると思うんだよね……」