髪の短い天使
side 幸太郎
僕の妹、美幸が昨日いきなり夢を叶えたいと言い始めた。
僕は、麗さんに教えたけど、なんとか説得したんだな……
結局、なんでもかんでも、麗さんに助けられてるな、僕たち兄妹は。
「幸太郎さん!」
向こうから、麗さんがやってくる。
私服はとても可愛らしい今時の私服だった。
「すいません、遅くなっちゃって……」
今日は、二人で映画だ。
僕が誘った。来てくれるとは、思わなかったけど、来てくれた。
麗さんは、必ず十分前には来る。
だから、僕は十五分前に来るようにしている。
「いや、麗さん、まだ約束の時間じゃないよ?」
苦笑いをする麗さん。
女の子らしさは、きっと美幸より上だと思う。
可愛らしくないって言ったら、絶対に嘘になる。
「あの、幸太郎さん……その“麗さん”ってやめてくれません?」
えっ?!