髪の短い天使
わざと、私に聞こえるように言っていることくらい、いくら私でもわかる。
「うっわ、感じ悪。」
「美幸、気にしちゃだめだよ。」
もちろん、私の眼中に愛結美なんていない。
それも、愛結美は気に入らないらしい。
放課後、私は愛結美に呼び出された。一人でくるように言われたから、誰にも秘密で愛結美のところへ行った。
『放課後、体育館倉庫で待っています。
大事な話だから、一人できて。』
愛結美の字で書かれた手紙を、私はもう一度確認をした。
なんで、放課後に体育館倉庫なんだろう。
私は、体育館倉庫に入る直前にふと思った。
あ、まさかいじめ?
いじめ。あまりにも、リアリティーがありすぎて、自分でも驚いている。
もし、いじめだったら、私が体育館倉庫に入ったら、鍵をかけて……
私は、自分が体育館倉庫にもう入っていることに気が付き、急いで出口の扉に向かった。
ガチャン
私が扉に向かっていたとき、扉の鍵がかけられた音がした。