髪の短い天使
教室に入ると、みんな騒いでいた。
私立の高校は、大体今日が合格発表だからな……
美幸は、窓際でぼーっとしていた。
「あ、麗ちゃん!」
美幸が、こっちに手を振ってくる。
変わったことはあんまりないが、美幸がオーディションのために、長かった髪を切った。
みんなに、似合ってるよと美幸は言われていた。
長かった時も良かったけど、美幸は短くても似合うんだから、すごいなと思う。
私は、美幸に向かってVサインを出す。
「よかったじゃん!麗ちゃん!よかったじゃん!」
よかったじゃん!を連発しながら、美幸が抱きついてきた。
ちょっと、苦しかったけど嬉しかった。
そして、私は喜んだ。さっきは、衝動的に喜びそうだったところを、おさえたため、おもいっきり喜んだ。
「それにしても、兄さんも驚いてたよ。まさか、麗さんが僕と同じ高校を、受験するなんて……って。」
幸太郎さんの真似をする美幸。