髪の短い天使
しまった。遅かったか……
扉を押しても、引いてもびくともしない。
扉の向こうから、声が聞こえた。愛結美だ。
「あんた、そこで私に逆らった反省をしなさい。」
反省って、私あんたに逆らった記憶がないんだけど……
「明日の朝、また新しい雑誌の撮影だったわよね。残念ね、行けなくて。」
ということは、明日の朝までここを開けないつもりなのか……
私が黙っているのにいらだちを感じたのか、愛結美は扉をバンッと蹴った。
音が倉庫中に響く。
「ま、せいぜいそこで泣いてるのね。」
足音が、遠ざかっていく。
はあ、私はその場でしゃがみこんだ。
バカだ……私ってば、こんなこと予想できたはずなのに!
「ああー、もう。とりあえず今は、どうしたらこの倉庫を出られるか、考えなくちゃな。」
私はマットの上に、横になった。
待てよ、この倉庫窓があったよな……
私は、少々起き上がり、周りを見回した。窓が一つ遥か上に小さくあった。
あれじゃ、抜け出せはしないな……
私は、うーんうーんと考えているうちに、意識が遠くなっていった。